陥没乳頭によっておこり易い病気

●授乳期乳腺炎(じゅにゅうきにゅうせんえん)

  分娩後二週間ごろに乳腺内に乳汁がたまり、ここに細菌(大部分はブドウ球菌)が感染して起こる急性炎症です。
  主な症状としては、乳汁がうっ滞して乳房全体が腫れます。炎症が進むと、部分的に*(1)発赤を伴い、熱感と*(2)疼痛があります。炎症が限局すると*(3)膿瘍ができます。わきの下のリンパ節が腫れたり、発熱することもあります。
  治療としては、抗生物質の注射か内服薬の投与を行います。初期で発熱や発赤のないうちは、冷湿布したり、搾乳器で乳汁をしぼり出します。膿瘍ができた場合には*(4)切開排膿します。この場合、授乳はさせないようにします。*(5)抗プロラクチン薬で乳汁分泌を抑制します。
  乳汁をためないように積極的に授乳をし、乳腺をからにしておくことと、乳頭を清潔にして細菌感染を防ぐことがたいせつです。

*(1)発赤(ほっせき)…皮膚や粘膜の一部が充血して赤くなること。炎症などによって起こる。
*(2)疼痛(とうつう)…ずきずき痛むこと。うずき。
*(3)膿瘍(のうよう)…化膿性の炎症において、組織が局部的に融解し、膿(うみ)がたまった状態。皮膚・肺・腎臓・肝臓・脳によく発生する。
*(4)切開排膿(せっかいはいのう)…化膿した部分を切開して膿(うみ)を出すこと。
*(5)プロラクチン…乳汁を分泌させるためのホルモン。

●乳輪下膿瘍(にゅうりんかのうよう)

  若い女性にみられる病気です。乳輪下に膿瘍ができ、自然に破壊されてうみを出し、一時軽快しますが、再び膿瘍をつくり、くり返します。陥没乳頭の人に多くみられますが、乳頭が陥没していない人でもみられます。
  乳管の膨大部に乳管の細胞の老廃物、ケラチン破片などがたまり、刺激して炎症を起こします。多くは無菌性の炎症ですが、膿瘍をつくるころには混合感染もみられます。
  治療としては、膿瘍があれば、切開して排膿します。混合感染も少なくないので、抗生物質を投与します。切開した傷の一部を開放しておいて*(1)瘻孔をつくり、うみがたまらないようにし、周囲の炎症がおさまったころに、この瘻孔を切除します。また拡張した乳管も切除し、陥没乳頭は形成術を行います。

*(1)瘻孔(ろうこう)…皮膚・粘膜や臓器の組織に、炎症などによって生じた管状の穴。

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